ストーリー
『お金は自分たちで作れるの?』という問いから生まれた、地域に「豊かさ」を埋め戻す物語。およそ20年前、このドキュメンタリーの主人公たちが立ち上げた地域通貨団体「蚕都くらぶ・ま〜ゆ」。『豊かさって何だろう?』そう問い続けながら、等身大の持続可能な暮らしを実践をしてきた。地域通貨を使うモノ・コトの交換と助け合い、米、野菜、味噌をともにつくるイベント、「みんなの家」をつくるプロジェクト、ひとりひとりの知恵をシェアする「寺子屋」、小学生も高齢者も楽しませる伝統行事の体験…。20年間の歳月のなかで展開された多くの活動。喜びと生きがい、そして豊かな暮らしを手に入れるヒントがそこにある。
地域通貨とは
地域通貨(Local Currency/Community Currency)とは、人びとが自主的に設計・発行・管理し、特定地域・コミュニティ内でのみ流通する利子が付かない「お金」であり、また、人びとをつなぎ、共通の価値や関心を表現・伝達・共有するための媒体でもある。日本では、2000年から地域通貨の実践が徐々に各地でなされるようになった。最盛期といわれる2008年には全国で600件以上の地域通貨が運営されるようになったものの、短期間では実際的な効果が見出せないなどの理由で運営を停止した事例が多い。「ま〜ゆ」のように19年間も運営を続けてきた地域通貨は本当に数少ない事例である。近年電子マネー形の地域通貨も登場して、地域通貨は再び話題になっている。
蚕都くらぶ・ま〜ゆが用いる地域通貨は通帳型と呼ばれ、1980年前半マイケル・リントンが考案したLETS(local exchange trading system)から派生したもの・ことの交換制度。仕組みとして、会員に1 冊の通帳を発行し,地域通貨の発生と精算をすべてこの通帳上てで行う。やりとりをする双方の話し合いによって価格を決め、自分の通帳にモノ・コトの名称と価格を書き、通帳に相手のサインをもらい、最後には握手をして完了するというものである。